緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2021年

2021/11/16
緩和ケア便り 11月号

慶應義塾大学医学部医学研究科 博士課程
がんプロフェッショナルコース1年生
慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器)
久岡 和彦

慶應義塾大学医学部 外科学(一般・消化器)の久岡和彦と申します。がんプロフェッショナル養成コースの一環として、がん診療科をローテーションしております。2021年10月の1カ月間は緩和ケアセンターで学ぶ機会を頂きました。
消化器外科の診療は、手術適応の評価や術後の早期回復を目指した周術期管理を要する患者さんから、放射線療法や化学療法を要する患者さんまでと多岐に渡ります。これらの診療を行うためには多職種や他科との連携が不可欠であり、緩和ケアセンターは重要な一角を担うと再認識致しました。

緩和ケアはがんに伴う身体的・精神的・社会的・スピリチュアルな苦痛を和らげる事を目的としており、がんと診断された時から適応とされます。がん患者さんが自ら緩和ケアを受診することは多くないため、適切な時期に緩和ケアのコンサルトを行うことが主治医に求められると感じました。そのためには患者さんを深く理解する必要があり、緩和ケアの診療に携わることで傾聴の重要性を実感いたしました。主治医だけでは網羅できない患者さんの訴えを聴取し、疼痛や嘔気などの身体的症状や不安や不眠などの精神的症状の軽減、退院後の環境整備を緩和ケアセンターが実際どのように対応しているのか経験することが出来ました。退院後の調整には主科の治療方針が影響を及ぼすため、介入依頼する立場としてこの点に留意し、緩和ケアセンターと連絡を密に行い方針を共有するよう努める必要があると痛感致しました。
消化器外科において緩和ケアが介入している患者さんの多くは、骨転移や播種結節などが原因の腸閉塞による疼痛を訴えていました。回診やカンファレンスを通じて、これらの疼痛に対する適切な鎮痛薬を用いた初期対応やオピオイドスイッチングの知識を深めることができました。疼痛は患者さんの生活の質を著しく低下させるため、早期に対処し緩和ケアセンターが介入した後も、主治医として鎮痛効果を常に評価することが重要であると感じました。

今回得た知識と経験を今後の消化器外科診療に活かし、より一層患者さんに寄り添う医療を目指して参りたいと存じます。日々お忙しい診療の中、丁寧にご指導して下さいました緩和ケアセンターの皆様に心より御礼申し上げます。

<<前号へ 次号へ>>

ページの先頭へ