緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2016年

2016/10/18
緩和ケア便り 10月号

精神・神経科
山本 玲美子

一気に秋の気配が濃くなってきました。この度、7,8,9月に緩和ケアチームで研修をさせていただきました精神・神経科の山本玲美子です。緩和ケア外来のある3号館のガラス張りの階段を毎日昇り降りする度に、「そろそろ雨かしら」「今日は特に暑そう」と話題にして季節の移り変わりを感じる3か月でした。

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がん患者さんとお話しする中で、「薬を飲むことで身体の異変に気付かなくなってしまうのではないか」「中毒のようになってしまうのではないか」「胃に悪いからなるべく薬は飲みたくない」等たくさんの不安・思いをうかがいました。私自身、薬を飲むよりも処方することの方が圧倒的に多いですし、処方されても飲み忘れてしまうこともたびたびです。だからなにがなんでも絶対に薬を使うべきだとは申しません。ただ、「つらさ」によって楽しめるはずのことが楽しめなくなってしまったり、辛いことがもっと辛くなっていたりするのであれば、毎日を自分らしく過ごすための手段の一つとして薬を受け入れることを我慢しすぎないでほしいと思いました。そんなことを考えていた研修中、がん闘病中の有名人の方のブログで、それまで我慢していた鎮痛薬を飲んだときの感覚を「『許されていく』感覚がした」「なんで勝手に罰みたいに苦しんでいたのだろう」と表現されているのを読みました。患者さんの直球の言葉にはいつもハッとさせられます。

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病期に関係なく「つらさ」はどんな人にも出現します。緩和ケアチームでは身体の痛み、心の痛み、吐き気、怠さ、暮らしの不安など、様々な「つらさ」に多職種が力を合わせて関わります。「我慢しすぎないで」というメッセージを発信していくことが、緩和ケアスチームから全ての医療スタッフへ、医療スタッフから全ての患者さん・ご家族に発信していくべきメッセージであり、全ての医療スタッフが緩和ケアの基本的なスキルを身につける必要があると実感しました。私の専門は精神科です。日々「その人がその人らしく生きていくことのお手伝い」をするつもりで診療にあたっていますが、緩和ケアで学んだことを生かして患者さんの「つらさ」によりピタッと合う診療ができるよう、今後も学び、関わりを続けていきたいと思います。

この場を借りて、関わらせていただいた全ての患者様とご家族、温かくご指導くださいました緩和ケアチームの皆様に深く御礼を申し上げます。

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