緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2016年

2016/09/09
緩和ケア便り 9月号

放射線治療科 がんプロフェッショナル養成コース2年
西村 修一

 2016年6月から2か月間、緩和ケアチームで研修させていただきました。外来、病棟回診、カンファレンスを通じて緩和ケアの知識を学び、また院外のホスピスや往診の実習で、終末期医療の社会的な現状も学ぶことができました。私は放射線治療を専門としており、これまでも緩和ケアを必要とする患者さんに緩和照射という形で関わることは少なくなかったのですが、内科や外科といった主科からの依頼を受けてから照射の適応を検討するという受動的な面がありますので、今回のようにチームに入って、緩和ケア全体の中での放射線治療の位置づけを見直すきっかけとしても大変良い経験となりました。

また、この実習の中で印象的であったことの一つは、緩和ケアやモルヒネという言葉に、末期状態の方が受けるもの、自分は見捨てられた、麻薬を使うと中毒になって抜け出せないのではないか、といった印象をもたれる患者さんがいまだ少なくなかったことです。しかしながら、そのような場合でも、治療を開始すると痛みが改善し、緩和ケアを受けてよかったと満足されることがほとんどだったように思います。

緩和ケア、終末期医療といった言葉の定義は難しく、医療従事者間でも考え方には個人差が大きく、どこからどこまでを指すのか曖昧なところがあります。ただし、癌治療において痛みのコントロールは最も重要な要素の一つで、生活の質を落とすだけでなく、痛みのために癌そのものの治療を進めることができなくなることもありますので、終末期かどうかに関わらず常に適切な対応が必要なものです。さらに言えば癌が治癒した患者さんでも緩和ケアを受ける対象となる場合もありますので、言葉のイメージにとらわれることなく全ての患者さんが前向きに緩和ケアを受けていただけるようになれば良いなと思いました。

モルヒネなど麻薬には副作用はあるのですが、当病院の緩和ケアチームは医師・看護師・薬剤師・臨床心理士といった多くの職種により形成されており、薬剤の選択・用量やメンタル面を含めた副作用の対応について手厚くサポートされています。私自身も幅広く学ぶことができましたし、負担の多い治療を受けている患者さんにとって安心して治療を続けることができる環境が整っていると感じました。

最後になりますが、2か月間という短い期間でしたが、忙しい中で様々なことを教えてくださったチームの方々に感謝を申し上げます。今後も院内でお世話になることがあるかと思いますが宜しくお願いいたします。

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