緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2014年

2014/4/1
緩和ケア便り 4月号

一般・消化器外科 がんプロフェッショナル養成コース
松田 諭

緩和ケアチームでの2か月間の研修を通して、多くの経験をさせていただきました。病棟での研修はもちろんのこと、緩和ケア病棟や、がんの終末期の方への在宅医療の見学を通し、わたくしたちが病院でお会いした患者さんが、退院後にどのような環境でどのようなケアを受けていらっしゃるのかを知ることができたことは、非常に大きな学びとなりました。

それと同時に、病院での治療からホスピス、在宅緩和ケアに、いかに患者さんの希望に沿って治療を移行することが重要かについても考えさせられた2か月でした。

わたしの専門である消化器外科では、多くの患者さんががんの診断うけて外来にいらっしゃいます。そして、根治(がんを完全に治すこと)を目的とした手術を一緒に乗り越え、その後も、数か月に1回外来でお会いすることが日常です。手術によって根治する方が多いなか、残念ながら再発してしまう患者さんもいらっしゃいます。そして、がんの種類のよっては、1度再発してしまうと、再度根治することは難しいこともあります。

がんを根治することを一緒に目指してきた患者さんに、その事実をお伝えすることは非常につらいことあり、ふたたび根治を目指して頑張っていきたいというのが、わたくしたちの本心です。しかし、緩和ケアチームでの2か月を通して、現実を患者さんと見つめ、今後起きてくるであろうことを共有し、その後の人生をどのように生きていくことを希望されるのかを相談することも、非常に重要だと感じるようになりました。

この2か月間、急性期病院以外で、がん患者さんが受けることができる医療を自分の目で見ることができました。そして、緩和ケア病棟、在宅医療に全力を注ぐ医療スタッフの方々とお話することができました。

がん治療にたずさわる医師として、がん患者さんの病気の状態、生活環境、想いを共有し、どこで医療を受け、どのような生活をおくるかの決定を、自信をもってサポートすることができる医師を志し、今後も修練を積んでいきたいと思います。

慶應義塾大学病院 緩和ケアチームの皆様、衛生病院 緩和ケア病棟のスタッフの皆様、廣橋先生をはじめとした野中医院の皆様、日々の業務でお忙しいなか、ご指導をいただきましてありがとうございました。今後とも、よろしくお願い申し上げます。

<<前号へ 次号へ>>

ページの先頭へ