- 2012/08/08
- 緩和ケアチーム便り
公田 龍一
放射線科(治療)
昨年10月に父親を脳出血で亡くしました。昔話に出てくるような典型的な親不孝息子は父親を亡くしてこう考えました。
「もっと感謝を表しておけばよかった。」
「謝りたいことを謝っておけばよかった。」
「旅行に行きたかった。ゴルフに行きたかった。碁を打ちながら語らいたかった。大好きな酒を一杯でいいから遣りたかった。」
「いっそ10分・・・5分間でもいいから生き返ってほしい、そして話したい。言葉をもらいたい。」
がんとは、その治療に困難を極め、時にはあまりにも無情で残酷な運命を患者に突きつける恐ろしい病です。
ですが、こうも考えられます。
いつかは必ず受け入れなければならない別れであるならば、死を迎える人にとっても、送り出す人にとってもかけがえのない時間を作ることができる、がんであるからこそ。
その痛み・苦しみ・悲しみを満足のいくレベルで和らげることができるのであれば――。
今回の緩和ケアチーム研修は最高でした。
がんプロフェッショナル養成プランの各種過程の中でこれほどまでがんという病気を考えるトレーニング期間も他にないのではないでしょうか?
この研修を経て、がん医療の果たす役割についてより深い理解が得られました。
そして、いつか私がひとかどの医師として成長を遂げた暁には、放射線治療というモダリティを携えて皆様と一緒に緩和医療を担っていきたいです。
緩和チームの皆様には心より感謝しております。どうもありがとうございました。