緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2012年

2012/03/14
緩和ケアチーム便り

八代英之
慶應義塾大学大学院医科学研究科 リハビリテーション医学教室 作業療法士

東日本大震災から1年が経ちました。あっという間だったと感じます。また、色々感じることの多い1年でもありました。メディアでは、この1年、様々な方の価値観や考え方など、話し合いがなされていました。もちろん、被災地からの声も届けられ報道されていました。

その中でもよく見かける光景のひとつに、「するべきか否か…」のニュースが多かったように思います。私は、答えは1つではなく、「こうあるべき こうでなければいけない…」でもなく、「この人はどうしたいだろう?あの人はどうしたいだろう?」ではないかと思いながらテレビを見ていました。大事なのは、するべきか否かではなく、個々に対するコミュニケーションや思いやり、尊重だと感じるのです。もちろん、国単位や自治単位で大きな決断をしなければならない時に、万人が納得する答えは難しいでしょう。けどそこに、個々に対する尊重・敬意があれば、心が救われる方は多いでしょう。人にとって一番辛いのは、「相手にされない。感じてもらえない。無視。」だと私は思います。

それは、医療の場でも同じことが言えると思います。この患者さんはどうしたいのかな?何を幸せに感じるのかな?何の不安があるのかな?等、そのようなコミュニケーションや尊重・敬意を持って携わり、その積み重ねの中から、答えや少しの光が見えてくると思います。

私がこの1年を通して、緩和ケアチームの先生方から教えて頂いた、大切なことのひとつでもあります。

ふとテレビを見ていて、そんな風に思うこのごろです。

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