緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2010年

2010/12/01
緩和ケアチーム便り

泉谷 幹子

東京都済生会中央病院消化器内科

銀杏の黄色いとんがり帽子がまばらになりました。緩和チームの皆様におかれましては、お元気で御活躍のことと思います。
4月より慶應義塾大学病院より港区三田の済生会中央病院に異動になりました。隣接して国際医療福祉大学三田病院、東京タワーの向こうに東京慈恵会医科大学、少し離れて北里研究所、虎ノ門、せんぽ東京高輪、山王と病院が集中していますが、当院を含め港区内には緩和ケアの病床はありません。東京都認定がん診療病院でもある済生会ではこの4月から緩和ケア科が設立されました。週一回緩和ケアチームで緩和回診を行い、主に疼痛緩和のアドバイスを行っています。皆が兼務ですので、なかなか患者さんや主治医の要望に応えることができません。診療症例数も少数で、緩和ケアの実態は主治医が個々に行っており、院内で必要とされるチームとなるには課題山積の状態です。慶應の緩和ケアチームも一つ一つの課題を解決しながら、時をかけて院内外の信頼を得ていったことを思い頑張りたいと思います。これからも御指導よろしくお願いいたします。

昨年参加したMD Andersen Cancer CenterのTeam Oncology ではチーム医療の大切さやチームをどうやって成立させるかなどを研修しました。チーム医療の必要性はさまざまな場面で強調されていますが、緩和医療にあてはめられることはまさに“それぞれの専門性の高いチームが共通の目標(治療)に向かい合った時、患者さんの満足度は高まり、そして我々の充実感も得られる”ということです。
以前は末期の患者さんに対して“自分(の家族)だったらどうするか?”と考えながら治療を考えていました。緩和医療を学ぶとそれが間違いであることに気付きます。患者さんとその家族に自分の価値観を押し付ける危険があるからです。冷静さと情熱+知識を兼ね備えた緩和ケア医になれるんでしょうか?道はうんと遠い。

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