緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2010年

2010/05/01
緩和ケアチーム便り

福田陽子

今年も華やかに桜の季節が通り過ぎましたね。そして今は青葉の季節。春になるとなぜ木々は芽吹き、夏には青々と生えることができるのか。それは冬の間に、次の季節にむかってじっと蓄えて準備していたからではないでしょうか。

古くから東洋医学には、「四季の養生」とう考え方があります。心身の養生には、四季に従って、エネルギーを春に芽吹かせ、夏に発散させ、そして秋にそれを収め、また次に備えて冬に蓄えることが大切、といわれてきました。 四季ある国に生まれた私たちが、太古から感じてきたこのリズムを、 心身の養生のために、今一度意識してみるのもよいかもしれませんね。

さて、わたしがこちらの緩和ケアチームに関わらせていただいてからもうすぐ一年になります。麻酔科医としてそれまでがんの痛みに関してのケアは行った経験がありましたが、患者さんやご家族のがん療養における思いについて深く耳を傾けるのは、このチームに関わらせていただいてからのことでした。

そのなかでの一番の学びは、”これがこの方に有効なはずである”、ということより、”その方が今何を一番もとめておられるのか”、を先に知る事がいかに大切かということでした。治療を受ける患者さん、そしてご家族にとって、さまざまな意味で準備がなされていなければ、同じ事を行っても結果や効果が異なったりするからです。

一呼吸、お待ちすることで、患者さんと息をあわせることができたら・・そんな絶妙なタイミングを探しながら、皆様のお手伝いをして参りたいと思っています。

青葉からのやさしい木漏れ日がみなさまの上にありますように。

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