- 2009/12/01
- 緩和ケアチーム便り
朴 順禮
色づいた木々の葉は落ち葉の絨毯へと変わり、冬の季節となりました。この時期になると天気の良い日には、慶應病院の新棟エレベーターホールから富士山がきれいに見えるようになります。朝、キーンとした寒さは身にこたえますが、すっきりと晴れわたった西の彼方に富士山を見つけると、「今日もがんばろう!」と不思議と力が湧いてきます。これは私だけではないようで、エレベーターを待つ間、窓の外に富士山を見つけた患者さんは「きれいだね〜」と表情が穏やかになります。どうやら富士山には人を元気づけたり、癒したりする力があるようです。
さて、“緩和ケア”というと、最近ではがんと診断されたら、心のケアを含めて開始していくものであると徐々に認識されるようになりました。緩和ケアチームへの依頼も、早い時期からご相談を受けるようになりました。身体の症状だけでなく、今後の過ごし方、心配や気持ちのことなど、患者さんそれぞれが抱えていることを早い時期から一緒に考える機会を持つことは、今後の治療やケアを進める上でも大切なことだと実感しております。
緩和ケアチームが本格的に始動を開始してから、2年の月日が流れました。もうそんなに経ったのかと、感慨深いものがあります。患者さんが見ただけで気持ちが癒される富士山のような大きな力には到底及びませんが、これからも緩和ケアチームは、患者さんの困ったことにこたえることができる、身近な存在でい続けたいと思います。