緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2010年

2010/01/15
緩和ケアチーム便り

藤澤 大介

最近心に残った映画に「最高の人生の見つけ方」があります。
ジャック・ニコルソンとモーガン・フリーマンが演じる、余命6カ月と言われた二人が、「人生でやりたかったこと」リストを作り、病院を抜け出して、それを一つずつ達成していく、はじめは世界中の旅に出かけたりするのですが、最終的に戻る先は、最も身近な家族との日常であった、そういう話です。

がんを始めとする重大な病気は、大きな渦のように、生活を一変させます。
そして、砂浜にうちよせる波のように、足跡を見えなくしてしまいます。

緩和ケアチームの精神科医には、生死にかかわる患者さんの心のケアが依頼されますが、精神科医は生き方に関する特別な答えや力を持っているわけではありません。

精神科医ができることは、がんという混乱の中でいつのまにか見失ってしまっていた、その人らしいあり方を思い出し、その道の続きを歩くお手伝いをすること、そんな風に私は考えています。

末筆ながら、新しい年が、みなさまにとってよい一年となりますよう。

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