緩和ケアチームの紹介

放射線科

放射線治療は、外科的治療や化学療法とともに、がん治療を担っている治療法です。放射線治療はその施行する目的により、根治をめざす治療と症状を緩和させる治療に分けられます。実際の放射線治療では、患者さんに治療ベッドに寝ていただき、10-20分ほどの間に位置合わせと治療を行います。放射線治療中は、レントゲン検査やCT検査を受けるのと同じようになにも感じません。副作用も比較的少なく、治療後に具合が悪くなることも少ないので、原則外来通院で行える治療です。
放射線治療は、

・腫瘍が大きくなったり、骨などの臓器に浸潤したりして痛みを伴う患者さんに行うと、痛みを改善させると同時に腫瘍を縮小させます。

・また、腫瘍が気道や食道を圧迫したり、浸潤したりして、息苦しさや食事が詰まる症状があれば、放射線治療で腫瘍を小さくすることで症状改善が期待できます。

・胃、腸、子宮などの臓器に腫瘍が浸潤した場合、出血を起こすことがあり、その出血軽減/予防のために放射線治療が行われることもあります。

・ただし、症状緩和のための放射線治療では、完全に腫瘍を消失させることを目的とする場合と比べると、少ない線量が投与されるため、腫瘍を消失させることは難しいです。

近年はテクノロジーの進歩により、放射線治療は高精度化しています。ガラケーからスマートフォンになり、ネットができるし、電車に乗れるし、銀行振り込みもできるようになっています。その進歩の速度と同じ速度で放射線治療のメスの切れ味が良くなっているのです。そのため、より短期間で、大きな効果が期待できるようになり、さらに副作用も減っています。
症状緩和を目的とする場合、腫瘍の大きさや放射線治療の効きやすさ(癌の種類によって異なります)、周辺に副作用を起こしやすい臓器があるか?、放射線治療との併用で副作用を起こしやすい抗がん剤治療を併用しているか?などの医学的な判断に加えて、患者さんが痛みなく治療の体勢をとれるか?、どのくらいの期間を治療に費やすのが適切か?、自宅から病院が近いか?、体調的に外来通院が可能か?など、患者さんの人生、生活にかかわる事項を十分考慮に入れて、放射線治療の適応、線量、回数などを決めるようになってきます。
そのためには、放射線治療医と緩和チームによる十分な情報交換、治療方針の検討が不可欠と考えられます。
進歩し続ける放射線治療を緩和医療にも活用するとともに、他の医療関係者に放射線治療の有効性を理解してもらう努力を続けていきたいと考えています。
放射線治療科
教授 武田 篤也
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