- 2020/9/4
- 緩和ケア便り 9月号
がんプロ大学院2年生 慶應義塾大学病院 消化器内科 下嵜 啓太郎
2020年7月から約2ヶ月間、がんプロフェッショナル養成コースの研修として緩和ケア科を研修いたしました。このプログラムでは、呼吸器がんや血液腫瘍など、消化器領域とはまた異なるアプローチでがんに対する治療を行う診療科にて勉強する機会があるのはもちろん、化学療法などの抗がん治療とあわせて非常に重要な緩和ケアについて学ぶ機会が設定されており、非常に魅力的なコースであると感じておりました。
実のところ、今までいくつかの病院でがん患者さんに接する機会はあったのですが、体系的かつ主体的に支持療法を含む緩和ケアに関わりを持ったり、ご指導頂いたりする機会はありませんでした。その中で、今回の研修で学んだことを以下に述べたいと思います。
まず、がん性疼痛に対する支持療法について幅広く学ぶことができました。医療用麻薬の中でも様々な症状により合った薬剤選択や、経口摂取の可否・在宅での負担等を個々の患者さんに応じて検討し剤形の選択を行うことの重要性を認識することができました。また、痛みの性状や部位、発症様式・増悪する体位などから、適切な鎮痛補助薬を併用することも非常に大切であることを学ぶことができました。
さらに、緩和ケアチームは医師の中でも精神科の先生や、麻酔科の先生、外科の先生と多様であるのみならず、薬剤師、看護師、管理栄養士など多職種が多角的な視点から患者さんにアプローチすることで、担当医のみでは気づかない点や、改善の工夫などが豊富なアイデアとともに提案できることが実感されました。
今後、消化器内科に戻って研修を続けていくわけですが、忘れてはならないことは、主治医が主体的に緩和ケアに関わり、緩和ケアチームとコミュニケーションを取って連携していくことだと改めて認識いたしました。その中で、抗がん剤治療だけではない、よりよい医療を患者さんやそのご家族へ提供していくことができればと思います。
最後になりましたが、非常に親身に指導してくださった緩和ケアチームの方々、診療させて頂く機会を快く引き受けてくださった患者さんに、心からお礼を申し上げたいと思います。