- 2018/12/10
- 緩和ケア便り 12月号
一般・消化器外科 がんプロフェッショナル養成コース
磯部 雄二郎
緩和ケアチームの皆様には、平素より多くの一般・消化器外科の患者様を御高診頂きまして、大変お世話になっております。10月・11月の2か月間、がんプロフェッショナル養成コース大学院の一環として緩和ケアチームで研修をさせて頂きまして、今までとは異なった視点で日々の診療を見つめなおす非常に貴重な機会となりました。
がんなどの病気にかかり、日常が不意に変化する時、病気と向き合い、そして人生と向き合う時間が必要となります。その貴重な時間を確保するためには、様々な苦痛から心身を守ることが必要です。積極的な治療を行っていてもいなくても、今生きているその大切な時間が苦痛により損なわれないように、多職種による包括的なケアをさせて頂く、その信念こそが緩和ケアの考え方なのだと研修を通して痛感する日々でした。
包括的なケアの第一歩、まず介入すべきは身体的な苦痛の緩和です。例えば医療用麻薬の適切な使用は、疼痛や呼吸苦の耐え難い症状の緩和に非常に有用となることが多く、患者様にとっても私たちにとっても信頼できる大きな力であることは確かです。ただし、そうした症状の最小化を図るだけでは患者様のQOLを最大化することはできません。身体的な苦痛がどうなったかだけではなく、その次にある「その症状の緩和が患者の生活をどう変えたのか」を見つめ、対話していくことが次の一歩だと思います。身体的苦痛が緩和された段階で浮き彫りになってくる、社会的・精神的・実存的苦痛のそれぞれに対応し患者さんの直面している生き方をサポートしていく、それこそが多職種から結成された当院の緩和ケアチームの姿でした。
短い期間ではありましたが、院内活動だけでなく東京衛生病院の緩和ケア病棟や野中医院での在宅医療の見学もさせて頂き、実に様々な形での緩和ケアを学ぶことができました。
末筆ではございますが、ご多忙な中でも丁寧に御指導頂きました緩和ケアチームの先生方、コメディカルの方々には心より感謝申し上げます。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。