- 2017/02/09
- 緩和ケア便り 2月号
緩和ケアセンター
2017年2月 皮膚科 中村善雄
がんプロフェッショナル養成プラン(通称:がんプロ)の一環で2016年12月より2ヶ月間研修をさせて頂きました。
多くの科において「がんを治療する」主な目的は腫瘍をなくすことや小さくすることです。我々医療者は治療に対し、いつもベストを尽くしていますが、慌ただしい日常診療の中で患者さん1人1人の苦しみに対して細かい配慮が行き届かない場合もあるのではないかと思います。
一方で緩和ケアは、身体的・精神的・社会的苦痛、さらにはスピリチュアルな苦痛まで「苦しみを和らげる」ことを目標にした医療であり、主科における腫瘍の制御とは主旨が異なります。多くの種類の苦痛緩和のため、緩和ケアチームでは医師・薬剤師・看護師・心理士など各種スペシャリストが一丸となって、患者さん1人1人に多くの時間を使い、苦痛を抽出・解決する作業をおこなっています。
ひと昔前まで緩和ケア=終末期というイメージがあったのではないかと思いますが、病気を受け止め、体の変化に対応していかなければならないのは全てのがん患者さんに当てはまるものと思います。研修中、苦しみや不安で悪循環に陥ってしまった患者さんたちが、緩和ケアチームの介入によって穏やかな顔になっていくのを何度もみることができました。様々な苦しみは経験豊かな専門家と相談することや、うまく薬を使うことでかなり軽減することができるのです。ですから、悩んでいる患者さんは是非緩和ケアチームに相談していただければと思います。
最後に、緩和ケアチームへの参加は、いつのまにか「学術的なこと」や「治療の効率」に偏重しかかっていた私に「真の臨床とはなにか」「何のために医者はいるか」という問いを改めて投げかけてくれました。大変感謝しています。