- 2016/07/13
- 緩和ケア便り 7月号
精神・神経科 穗永りみ
2016年4月から6月まで、チームに参加させて頂き研修を致しました。3ヶ月間はあっという間でしたが、その内容は非常に濃いものでした。
まず医療の面で感じたのは、チーム医療の強さ・パワーです。チームは、色々な科の先生、薬剤師、看護師、臨床心理士など多くの職種から構成されています。そのチームで患者さん1人1人を診察し、症状や辛さに応じて苦痛が和らぐように知恵を寄せ合い全力で支える役割を担います。
外来や病棟で出会った患者さんは、我慢強く痛みに耐えている方、痛みをうまく言葉で伝えられない方、眠れない夜を過ごしている方や自分の気持ちを周りに話せない方など、様々な症状・悩みを抱えていらっしゃいました。緩和と聞きますと終末期を想像される方もおり、初めは少し抵抗を示される方もいましたがパンフレットを用いてチームの役割をご説明すると納得される方が殆どでした。もちろん緩和では終末期ケアも大切ですが、「辛い症状を和らげる」ために主科の担当医や病棟看護師と相談をしつつ、患者さんの生活をより良いものにするお手伝いをさせて頂くことが主な役割です。また独居の方や施設に入られる方、在宅医療を取り入れる方、転院される方など、入院時だけでなく退院後の生活にも目を向けスムーズに繋げていく事もチームで担うので、ソーシャルワーカーとも協力し退院調整を行います。患者さんの中には仕事に復帰する方もいらっしゃいましたし、硬い表情だった方が冗談を言い笑顔で話していたり、人生に対する考え方や病気との向き合い方が以前と違っていたりと、私自身患者さんの変化に驚く時が多々ありました。
そして患者さんだけでなく、ご家族などご本人の周りの方が辛い時も、辛さを和らげるように動きます。例えば家族外来ではご家族の方のお気持ちや辛さをお聞きする機会も多くありましたし、必要であればお薬をお出しする事もありました。
私は精神科で半年単科病院に出向しており、そのすぐ後から緩和ケアチームで研修させて頂きました。精神科においても患者さんご本人だけでなくご家族や周りの環境、地域など広い視野が必要なのですが、基本は患者さんを中心に薬物療法や精神療法などの治療にあたります。緩和ケアでは治療だけではなく、治療前・中・後の生活、地域社会との結びつき、人生そのものに深く関わります。私も頭では分かっているつもりでも1人1人の苦痛に対応し深く向き合うのは大変な事で、医療者としてエネルギーをかなり使います。腫瘍や骨折に対する手術や放射線など、目に見える治療も大事ですが、目に見えにくい気付かれにくい分野の治療も必要とされており改めてその重要さを認識致しました。
チーム内で実際に過ごさせて頂き勤務面で感じたのは、チームのまとまりやメンバーの絆や仲の良さ、居心地の良さでした。それぞれ専門が違いますが医療に対する思いは皆同じで、強いまとまりに圧倒されました。私はそんな素敵なチームで尊敬できる皆さまと色々な事をお話できる時間もとても刺激的で貴重なひと時でした。
3ヶ月の間、チームに貢献しようと精一杯頑張らせて頂いたつもりですが、空回りしたり至らぬ点も多かったかと思います。皆さまには大変お世話になりました。緩和ケアチームで学んだ事を忘れず、さらに応用できるように日々精進して参ります。7月以降はチームから離れますが、今後ともご指導ご鞭撻のほど、どうぞ宜しくお願い致します。本当にありがとうございました。