- 2016/1/19
- 緩和ケア便り 1月号
一般・消化器外科 乳腺班 がんプロフェッショナル養成コース
横江 隆道
今回、がんプロフェッショナル養成コースの一環として、2015年10月から2ヶ月間、緩和ケアチームの診療に参加する機会をいただきました。病棟での研修、緩和ケア病院での研修を通じて、日々の臨床に生きる気づきを得ることができました。
私の専門とする乳腺外科では、外来で乳がんと診断された方のほとんどが手術を中心とした治療で根治を目指します。
ただ残念ながら遠隔転移が見つかった場合や、治療後に再発してしまった場合は根治が難しく、がんと共に生活していくことになります。その場合、薬物療法を外来で継続しながら、長く元気に過ごすことが治療の目標となります。そのような生活の中で、どのような身体的・精神的苦痛があるかを早いうちから知り、緩和していくことはとても重要となります。
また、いつかは癌の進行に伴って全身状態が悪化する時期が来ます。治療中に化学療法の副作用等で状態が悪くなることもあります。そのような時にどこまで治療を続けるか、いつ全面的に症状緩和に切り替えるか、普段の臨床で非常に悩むところであり、始めから決まった正解はありません。
医療者としては、提供できるベストな治療は何かを常に考えており、何とか病気が良くなって欲しいとの気持ちがあります。ただ、残念ながら現代の医学にも限界があります。その時に、患者さん自身が一番納得した選択をされるためにも、患者さんの本当に望むことや置かれた環境を知り、時に気持ちを受け止め、希望を実現するのに何ができるか、一緒に相談していくことがとても大切だと、改めて感じました。
各スタッフがそれぞれの専門性を十分に発揮する緩和ケアチームで学んだことや、患者さんと接する中で感じたことを忘れずに、今後の診療に日々励んで参ります。
最後に、お忙しい業務の中丁寧にご指導くださった慶應病院緩和ケアチームの皆様、衛生病院の緩和ケアチームスタッフの皆様に御礼申し上げます。今後とも、よろしくお願い申し上げます。