- 2014/11/05
- 緩和ケア便り 11月号
一般・消化器外科 がんプロフェッショナル養成コース
坊岡 英祐
消化器外科を専門としておりますが、がんプロフェッショナル養成コースの一環として、9月10月の2ヶ月間を緩和ケアチームに参加させて頂きました。緩和ケアチームの先生方は日々の業務が忙しい中、ご指導賜り心より感謝申し上げます。
私の専門とする消化器外科領域は、手術による根治(がんを完全に治すこと)を目標としておりますが、やはり患者様の死とは切っても切れない関係です。そのような日常で緩和ケアの重要性は認識し、患者様の死と向き合ってきたつもりですが、この2ヶ月間ほど患者様の死と多く向き合ったことはありませんでした。
この2ヶ月間で学んだことは多岐に渡りますが、その中でも印象的なことを述べさせて頂きます。まずは、緩和ケアチームの先生方は皆、患者様の問診が非常に上手いです。問診というとこちらが聞いて患者様に答えてもらうという印象ですが、緩和ケアチームの先生方は、患者様に親身に寄り添い、患者様の方から話したくなる雰囲気を作られます。私の印象では、主治医にも言えなかったことを緩和ケアチームに話しているようでした。
次に印象的なエピソードを紹介させて頂きます。指導して頂いていた先生と、終末期の患者様を訪れた際に、患者様が「早く殺してくれ」と仰いました。それに対し先生は、「あなたは早く死を迎えたいわけではなく、今ある身体的、精神的辛さを何とかして欲しいのですよね?」と尋ね、患者様は「その通りです」と答えました。現在,海外を中心に安楽死が話題になっていますが、患者様は早く死にたいのではなく、今ある辛さを何とかして欲しいのだということを改めて認識させられました。
この2ヶ月を通じて感じたことは、やはり患者様に寄り添うことが一番大事だということです。患者様あっての医療ですし、常に治療の中心は患者様であるべきです。専門の消化器外科に戻っても常にこの気持ちを忘れず、日常診療の糧とさせて頂きます。本当に有り難うございました。