緩和ケアチーム便り

緩和ケアチーム便り

2011年

2011/04/01
緩和ケアチーム便り

澤 美菜子

このたびの地震で被害を受けられた方々に、心よりお見舞いを申し上げます。
皆様に一刻も早く、必要な支援が行き渡るようお祈り申し上げます。

はじめまして。言語聴覚士の澤と申します。関西の病院で10数年働いた後、がんのリハビリテーションを専門的に学ぶため昨年4月に大学院に入学しました。将来は緩和的リハビリテーションの仕事がしたいと思っており、毎週電子辞書を片手にカンファレンスで勉強させていただいています。

リハビリを機能回復訓練ととらえると、緩和医療とは結びつかないように思われるかもしれません。障害された機能を回復して職業復帰、家庭復帰につなげるのはリハビリの大きな役割ですが、一方で、障害があっても出来る事は安全に行えるように、環境調整を含めてサポートする事も重要なリハビリです。緩和的リハビリテーションの役割は後者に近く、患者様のニーズを尊重しながら身体的・精神的・社会的にQOLの高い生活を送れるようにすることが目的となります。

言語聴覚士は、主にコミュニケーション障害や嚥下障害の訓練を行います。がんの終末期に関する調査では、多くの場合、食事や会話の能力は予後が数日という時期まで保たれていますが、中には食物形態や食べ方に工夫が必要であったり、意思の疎通が難しい方もおられます。

食事やコミュニケーションがうまくいかない原因や、その対処法は様々で、適切に対応すれば、ちょっとした事が大きな効果をもたらす場合もあります。また仮に状態が改善しないとしても、最後まで病状に応じた最善のQOLを維持すべく患者様に関わり続ける事は、後に残る人達に後悔や医療不信を残さないためにとても大切だと思います。

慶應の緩和ケアチームでたくさんの事を学んだ私も、4月から静岡県立静岡がんセンターでレジデントとして勤務する事になりました。若葉マークで発進するのは勇気が要りますが、患者様に「会えて良かった」と思っていただける仕事が出来るように頑張ります。お世話になった先生方、本当にありがとうございました。これからもどうぞ宜しくお願い申し上げます。

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