- 2010/10/01
- 緩和ケアチーム便り
吉川 ひろか
暑い夏も過ぎ、金木犀の香り漂う秋らしい季節となりました。当院緩和ケアチームも、10月より緩和ケア外来が麻酔科外来から独立し、新しい風が吹き始めます。
昨年度、私はチームの一員として疼痛管理と症状コントロールを中心に活動させて頂きましたが、本年8・9月に大学院の緩和(精神腫瘍学)研修として、チームの精神科医師とともに患者様やご家族、医療スタッフに関わらせていただきました。
麻酔科医から視たチームの精神科医師の活動は、あらためて考えさせられるものがありました。サイコオンコロジーというと難しく感じますが、チームの精神科医師の実践していることは、患者様やご家族のそばに寄り添い、こころのつらさ・苦しみ・不安を伺い、そして人生をその方らしく生きることをサポートすることです。
病気になることや治療に伴う不安は病院にかかっているどの方にもあり、押し寄せる医療情報や治療の中で、その方を支えるご家族もご本人と同じ傷みを感じていることが多いのではないでしょうか。そして、病院は非日常的な空間で、その方の歩まれてきた人生や家庭、社会的背景は、治療や検査の後ろに隠れてしまうことが多いように思われました。
また、患者様やご家族にとって、どこでどんな治療を受けたいか、最期の時をむかえたいかのご希望は人それぞれですが、身体症状やサポート体制により選択の幅が狭くなってしまうことが多々あります。その中でも、何ができるか、なにをご心配なさっているか等、患者様自身のニーズを知ることを精神科医師は引き出し、実現できるよう調整することを得意としているのだと感じました。
その他、せん妄や不眠、スピリチュアルな面のサポート、患者・家族・医療者間の調整などサイコオンコロジー分野は幅広く、中でもコミュニケーションのサポートは大変重要な要素です。非言語的・言語的なものも含めて相手のことを知ろうという気持ちを、自分自身も大切にしていきたいと思います。
今回、チーム内でも立場を変えてみると、見えていなかった部分を発見でき貴重な機会となりました。
緩和チームでは、最近チームの頼りの綱である薬剤師の金子先生をはじめ、メンバーも増え、今後の活動の幅もさらに広げていく予定です。より多くの方に知って頂き、輪がつながっていくことを期待します。
これまでお会いした患者様やご家族、これから出会う皆様に感謝して、ありがとうの言葉で便りを〆させていただきます。