- 2010/03/01
- 緩和ケアチーム便り
竹内 麻理
3月です。東京でも春の訪れを感じるようになってきました。
今回は患者さんのご家族へのメッセージを書きたいと思います。
がんという病気は、闘病中のご本人がつらい気持ちを抱えていらっしゃるのはもちろんですが、患者さんのご家族も同じようにストレスを受けたりつらい気持ちを抱えていらっしゃったりすることが多くあります。医学の進歩によって、がんは決して怖い病気ではなくなりましたが、やはりがんのもつイメージから、愛する人ががんに罹患すること自体がご家族にとっても大きなストレスをもたらします。医療者からも患者さんからも、患者さんを支えることを期待されるため、ご家族のつらさが大きくなることもあります。実際にがん患者さんをご家族に持つ人の中で30%位の人が抑うつ・不安といった心のつらさを抱えてしまうということも知られています。そのため、ご家族は「第二の患者さん」とも考えられるのです。
大切な人のつらい状態を見て一緒につらくなったり、悲しくなったりすることは当然の感情で、弱いことでも恥ずかしいことでもありません。これまでお会いしたご家族の中にも「本人が弱音をはかないのに私がつらいなんて言えない」「暗い顔をして心配をかけたくない」と頑張っていらっしゃる方がたくさんいらっしゃいましたが、やはりつらい気持ちにふたをして過ごしていくのは大変なことです。時にはふたをあけてつらい気持ちを解放してください。そのために、私達緩和ケアチームでは、ご家族の方の相談にも対応しております。患者さんがご自分らしくいらっしゃれることと同じように、患者さんを支えるご家族がご自分らしく過ごせることも大事なことです。つらいお気持ちを一人で抱えないで、よろしかったら私達にお話を伺わせてください。
春のやわらかな陽射しが皆様のもとに届きますように。