- 2023/10/13
- 緩和ケア便り 10月号
一般・消化器外科
がんプロフェッショナル養成コース
神山真人
2ヶ月の緩和ケアチームでの研修を通して、当科では経験できないことに数多く触れさせて頂きました。
当科ではどうしても根治術の適応となる患者さんが対象となることが多いです。一方で、本邦では悪性新生物で亡くなる方が全体の1/4以上です。私自身もこの文章を読んでくださっている方も、根治術適応外の悪性新生物に罹患して亡くなる可能性はそれなりにあると考えられます。そのようなことを考えながら、今回の研修を始めました。
Pain controlの具体的方法についても個々の症例をもとに数多く学ばせて頂きましたが、より印象に残ったことは、個々の患者さんへの対応の仕方でした。例えば”痛み”に対して、いわゆるOPQRST以上の情報収集をし、主科との連携を行なっていました。訴えのある患者さんに対しては徹底的に話を聞き、今後どうしても外出をする予定がある、リハビリ時に強くなる疼痛に対応をしたい、などの個々の訴えに対応していく姿には、医療者として見習うところが多々ありました。また、訴えを聞くも医療なら、聞かぬも選択肢であると感じました。訪室時にどうしてもお話をしたくないタイミングならば改めて出直す、本人のみならずあえて本人不在の場でご家族の訴えを聞く、など、個々の症例で総合的に判断を下していました。メンタル面でのサポートも手厚く、現実を見つめつつも今後起きてくることを予測し、その後の人生について一緒に考えていく姿には、医療者である私も感動をしました。
私は今後もがんに関与する医療者として、今回研修させていただいたように患者さんに総合的に携われるよう、今後も研鑽を積ませて頂きたいと思います。
慶應義塾大学病院 緩和ケアチームの皆様におかれましては、日々の業務にてお忙しい中、ご指導を賜りましてありがとうございました。今後とも何卒宜しくお願い申し上げます。