- 2020/5/18
- 緩和ケア便り 5月号
緩和ケアチーム看護師 藤田幸子
現在、コロナウィルスの影響で様々な会が中止・延期となっておりますが、今回の内容は2月に開催されたものです。
当日プログラムと 瀧野陽子先生(会場入り口にて)
講演された先生方はそれぞれご自身の体験を混ぜながらの発表でとても興味深く、拝聴しました。
がん領域では疼痛や呼吸困難へのオピオイド使用は一般的となっていますが、心不全患者に関わる医療者の方々には、まだ不安や怖さを感じていらっしゃる方も多いようです。
当院緩和ケアチームの瀧野先生が、心不全患者の呼吸困難の特徴、呼吸困難緩和に使用するオピオイドについて講義しました。オピオイドの基礎知識の他、オピオイドが効果を発揮する呼吸困難は、呼吸数が多い、痰が少ない、低酸素血症が無い患者であるなど、対象となる患者像について教えていただきました。
また、呼吸抑制を心配する方も多く、適切に使用していれば呼吸抑制は出現しないこと、呼吸抑制の前に傾眠が出現するため、その時点で対応すれば呼吸抑制には至らないことなど、具体的な指標についてもお話し頂きました。現場の医療者は、具体的でわかりやすい表現で話していただいたことで、間違った認識や不安は少し解消されたのではないでしょうか。
最後に会場から、講義内で参考資料として示したSTAS-Jスコアについて、どの程度からオピオイドを使用したらよいのかというご質問がありました。STASはあくまでもスコア=指標であり、ご本人の苦痛の程度と希望を総合的に評価し、オピオイドの使用を検討する必要があると教えていただきました。