- 2019/10/15
- 緩和ケア便り 10月号
慶應義塾大学大学院 医学研究科・医療科学系専攻 松井 一晃
慶應義塾大学医学部 一般・消化器外科の松井一晃と申します。大学院のがんプロフェッショナル養成コースの一環として、2019年9月1日より1ヶ月間緩和ケアセンターで診療に携わらせて頂きました。
消化器外科の日常診療においては、がんの根治や急性期医療が一番に浮かんで来るかと存じます。しかしながら、がんの診断を受けた患者は治療開始当初から身体的・精神的な苦痛を抱えており、手術・放射線・化学療法と並行して、その苦痛を可能な限り取り除き、少しでも負担なく治療を継続出来る環境作りをすることも外科医の重要な役目であると考えます。
この1ヶ月間で緩和ケアの介入ががん診療にとっていかに重要であるかを再認識することが出来ました。患者の話を丁寧に聴取して苦痛の性質を的確に判断し、鎮痛・鎮静薬に関するより専門的な知識で治療のサポートを行うことで、主治医の手が行き届きにくいところまで綿密にカバーがなされていることを改めて実感致しました。また、普段は緩和ケアへ依頼を出す立場ですが、依頼を受ける立場から病棟業務、訪問診療、ホスピス診療に関わることで、各スタッフがそれぞれの立場から何を考え、何を目標として治療に携わっているのかを実際に体感することが出来ました。今回の経験を外科医としての今後の日常診療に活かして参りたいと存じます。
最後になりますが、御指導を賜った緩和ケアセンターの皆様、関連施設のスタッフの皆様にこの場をお借りして心より御礼申し上げます。