- 2011/09/07
- 緩和ケアチーム便り
土器屋 富美子
がんプロフェッショナル養成 プランインテンシブコース修了者 サザンリージョン病院 医師
慶應大学のがんプロフェッショナル養成コースについて知ったのはちょうど1年前の夏の頃のことでした。
当時の私は、鹿児島市内のとあるホスピス病棟に勤めて3年目に入ったところで、院内のスタッフや患者さんたちからは「緩和ケアの先生」「症状を楽にしてくれる先生」と呼ばれて、何となくそれなりに緩和の仕事をしている気になっていた頃でした。
それでも、このままでよいのだろうかという疑問もあり、標準的なレベルを知りたいと、専門医受験について考えていたところでした。
そこで、ネットをいろいろ検索していたところ、慶應大学のがんプロフェッショナル養成講座の緩和ケアコースに行き当たりました。他の大学主催のコースはすべて大学院のコースで、2年から4年は在籍しないとならず、仕事も家族もある身としては、現実的ではなかったのですが、慶應大学のコースは、受講時間数で認定が受けられるというところが魅力的でした。
時間はかかるだろうけど、有給を利用して何度か上京すれば何とかなるかな、くらいの認識で質問のメールを試しに送ったところ、思いもかけず、とても丁寧なお返事をいただきました。その後も、短期間で受講できるようプログラムを組む事も出来るというありがたい提案もいただき、事務局の担当の方に励ましていただいたことが、私の気持ちを決めました。
その後は、あれよあれよという間に事が運び、気がついたら東京の街を歩いておりました。
今回の研修で一番印象に残ったのは、終末期になったときの患者さんの精神状態の評価と対応でした。
終末期の患者さんのせん妄には鎮静しかない。というのが、それまで働いていた病棟での共通認識で、多くの患者さんが結局はそうなってしまう事に無力感を覚えていましたが、今回の研修を通して決してそうではない、という事が学べて、ある意味私に取っては救いとなりました。
鹿児島に戻って、職場も変わり、今は薩摩半島の南の端っこにある病院にいます。患者さんもスタッフも皆、地元出身が多く、地域で最後まで看取る、という意識がとても高いところです。東京の病院とはかなり雰囲気も違いますが、目指しているところはやっぱり一緒だなあと、いつも思います。東京で学んだ事を、生かしつつ地域ならではの緩和を私なりに模索していこうと思っています。
また、行き詰まったり、疑問がわいてきたときには、どうかよろしくお願いいたします。